相続放棄・限定承認の手続きを検討しましょう
作成日: 2025年04月02日更新日: 2025年04月02日
相続財産には、プラスの財産だけでなく、借金や未払いの税金などのマイナスの財産も含まれます。マイナスの財産が多い場合、相続によって財産よりも多くの借金を背負ってしまう可能性があります。このような事態を避けるために、相続放棄と限定承認という制度があります。
相続放棄
相続放棄とは、故人の財産と債務を一切引き継がないという手続きです。相続放棄をすることで、故人の借金を相続せずに済みます。しかし、プラスの財産も相続できなくなるため、注意が必要です。
相続放棄は、相続人が単独で手続きできます。相続の開始を知った日から3ヶ月以内に、家庭裁判所に相続放棄の申述をする必要があります。
ただし、相続放棄をした場合は、次順位の相続人に相続権が移ってしまう場合もあるので、注意が必要です。後述の遺産分割協議によって、実質的に相続権を放棄する手段もあります。
限定承認
限定承認とは、相続した財産の範囲内で、債務を弁済するという手続きです。限定承認をすることで、相続した財産以上の借金を背負うことはありません。
限定承認は、相続人全員で共同で行う必要があります。相続放棄と同様に、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に、家庭裁判所に限定承認の申述をする必要があります。
限定承認の手続きは、相続放棄よりも複雑です。 家庭裁判所に申述した後、官報で債権者に債権の請求を呼びかける公告をする必要があります。その後、相続財産を換価処分し、債権者への弁済を行います。
相続放棄と限定承認のどちらを選択すべきか
相続放棄と限定承認のどちらを選択すべきかは、相続財産の状況や相続人の事情によって異なります。
マイナスの財産が明らかに多い場合: 相続放棄を選択する方が良いでしょう。
プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いか不明な場合: 限定承認を選択することで、相続した財産以上の借金を背負うリスクを回避できます。
相続放棄と限定承認は、いずれも重要な手続きです。それぞれのメリットとデメリットを理解し、ご自身の状況に合わせて適切な方法を選択しましょう。
相続の承認又は放棄の期間の伸長 | 裁判所